離婚裁判の期間の目安と流れを解説!早期終了のためのポイント3つ

  • 作成日

    作成日

    2024/04/17

  • 更新日

    更新日

    2024/06/12

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目次

離婚裁判の期間の目安と流れを解説
「裁判って時間がかかると聞くけど、離婚裁判にはどれくらいの期間がかかるのかな?」

当事者の話合いによる協議離婚や調停離婚だけでなく、裁判によって離婚が成立することもあります。

一般的な離婚裁判の期間は1~2年程度が目安ですが、離婚裁判を起こすには、まず離婚調停を行う必要があるなどのルールがあります。

このコラムでは、離婚裁判に必要な期間や、早く終わらせるためのポイントについて解説します。

離婚裁判までの流れや特徴、争われる内容

まず離婚裁判とはどういうものか、その概要を紹介します。

(1)離婚裁判に至るまでの流れ

離婚には次の3ステップがあります。
  • 離婚協議
  • 離婚調停
  • 離婚訴訟(離婚裁判)

【離婚協議】

まずは、夫婦の間で話し合って離婚の条件を決めます。
下記統計によると、日本の2021年の離婚総数は18万4,384件で、うち15万9,241件が協議離婚の方法で離婚しているため、約86%が協議離婚していることになります。

【離婚調停】

話合いがまとまらなければ、家庭裁判所の調停委員に仲介してもらい、離婚条件の合意を目指すことになります。
上記統計によると、離婚総数のうち1万6,975件が離婚調停の方法で離婚しており、約9.2%です。

【離婚訴訟(離婚裁判)】

調停が不成立になった場合には、離婚裁判を提起することになります。
上記統計によると、裁判による離婚(判決に至った場合のみ)は1,944件にすぎず、約1%です。

日本の法律上、離婚調停のステップを飛ばして離婚裁判はできません。つまり、離婚裁判を起こすには、あらかじめ調停をしておかなければならないのです。
これを調停前置主義といいます。

(2)離婚裁判の特徴

協議や調停で離婚する場合と異なり、裁判で離婚が認められるためには民法第770条1項に定められた「法定離婚事由」が必要となります。
法定離婚事由は、次の5つです。

1. 不貞行為

いわゆる不倫のことです。配偶者以外の異性と自由な意思に基づいて性的関係を持つことをいいます。

2. 悪意の遺棄

夫婦関係の破綻をもくろんだり、破綻してもかまわないという思いで同居・協力・扶助といった夫婦の義務を怠ったりすることをいいます(民法第752条)。

3. 3年以上の生死不明

4. 回復の見込みがない強度の精神病

5. その他婚姻を継続し難い重大な事由があること

裁判所が事案を個別に検討してその有無を判断します。

ただし、有責配偶者(たとえば不貞行為をしたなど離婚の原因を作った側)から離婚を求める裁判を起こしても、原則として離婚は認められません。

詳しくは「離婚に必要な5つの理由」をご覧ください。

(3)離婚裁判で争われる内容

人によって異なりますが、離婚裁判で争われる内容は主に次のような点についてです。
  • 離婚するかしないか
  • 慰謝料の支払義務はあるのか、支払う場合の金額はいくらか
  • 財産分与の内容
  • 年金分割
  • 親権者の決定
  • 養育費の内容
  • 親子の面会交流

離婚裁判の期間はどれぐらい?

次に、離婚裁判は一般的にどの程度の期間で終了するのか解説します。

(1)一般的な離婚裁判の期間は1~2年程度

裁判所が発表している2022年1~12月の人事訴訟事件の概況によると、離婚裁判の審理期間(訴えの提起から判決または和解までの期間)の平均は14.7ヵ月です。
ここから、一方が裁判に出席しなかったり、途中で和解したりして早期終了したパターンを除くと、平均19.8ヵ月となります。

したがって、ケースによっても異なりますが、離婚裁判の期間の目安は約1~2年ということになるでしょう。

(2)離婚裁判の期間が長くなるケース

複雑な事情があったり、証拠の準備に通常よりも時間を要したりする場合は、さらに長引くこともあります。
特に、親権や財産分与について争いがあると長引きやすいでしょう。
また、第一審を不服として控訴すれば、裁判が終わるまでの期間がその分延びることになります。

離婚裁判の大まかな流れ

離婚裁判の大まかな流れ
大まかな流れは以下のとおりです。

(1)原告が家庭裁判所に訴状を提出する

まず、夫婦どちらかの住所地にある家庭裁判所に、原告(訴えた側)が訴状を提出することによって、訴訟が提起されます。
なお、訴状とは、原告がその主張を記載して裁判所に提出する書類のことです。

(2)裁判所から第1回口頭弁論期日の通知が来る

訴状は、家庭裁判所から被告(訴えられた側)に送付され、第1回目の期日が指定されます。

(3)被告が訴状への反論を書いた答弁書を提出する

被告が訴状に対する自分の主張を書いて裁判所に提出する最初の書面のことを「答弁書」といいます。訴状に書かれている内容のどこが間違っていて、どこが正しいのかを書き、ほかに被告の言い分がある場合にはそれも記載します。

(4)第1回口頭弁論

夫婦双方(またはその弁護士)が、裁判官の面前で、意見や主張を述べ合って攻撃防御の弁論活動をする訴訟行為を「口頭弁論」といいます。
第1回口頭弁論は、訴状の提出から約1ヵ月後に行われることが多いです。

(5)弁論準備手続

口頭弁論が続く場合もありますが、公開の法廷ではなく、「弁論準備手続」に進むこともあります。これは、裁判所の一室において、裁判官と当事者が、争点や、今後の進め方についての協議を行う手続です。原則として口頭弁論のように公開されることはありません。
また、弁論準備手続では、裁判官の判断で、原告・被告のどちらか一方が裁判所に来れば、他方は実際に裁判所に来なくても、電話やインターネットを使用したビデオ会議にて裁判に出席できる場合があります。

(6)尋問

争点整理が終了すると、当事者に対する尋問が行われます。公開の法廷において、原告(またはその弁護士)から被告本人に質問があり、そのあとに被告(またはその弁護士)から原告本人に質問があります。最後に裁判官が質問する場合もあります。

(7)判決

裁判官が判決を下し、離婚裁判が終了します。
離婚を認める判決(請求認容判決)が確定すると、離婚が成立します。請求認容判決の確定により離婚は成立しますが、離婚届の提出は必要です。離婚成立から10日以内に、原告が判決謄本(判決文全部を写した文書)・判決確定証明書と一緒に、離婚届を提出します。なお、10日以内に提出しないと過料の制裁を受ける可能性があります。

裁判の途中で和解したり、訴えを取り下げたりするなど、判決によらず裁判が終了するケースもあります。

判決に納得できない場合は?

判決内容に不服があれば、当事者は判決受取後14日以内に高等裁判所に控訴できます。
控訴がないまま上記期間が終了すると、判決が確定します。

離婚裁判の期間を短くするためのポイント

次に、裁判を早く終わらせるためのポイントを解説します。

長期間にわたって裁判が続くことは大きなストレスになると考えられるため、ぜひ参考にしてください。

(1)決定的な証拠を用意する

自分の主張を裏付ける証拠をきちんと集めておくことで、裁判官の判断もスムーズになり、早期の解決が見込めます。
どのような証拠が効果的かはケースによっても異なりますが、一般的に次のようなものが証拠になりやすいでしょう。
その他、日記を細かくつけておくことが有効な場合もあります。

【不倫(不貞行為)の証拠の例】

  • ラブホテルに出入りしているところの写真・動画
  • 性交渉を行っている様子そのものの写真・動画
  • 肉体関係があったと思われるような内容のメールやLINEなどのやり取り
  • 配偶者自身が不貞行為を認めた証言の録音・書面

【悪意の遺棄の証拠の例】

  • 生活費を受け取っていないことがわかるもの(給与明細、送金が途絶えた口座の通帳の写し、メール、LINE、手紙など)
  • 別居に至った経緯や、いつから別居が始まったかがわかる記録
  • 配偶者の別居先を特定できるもの(住民票や賃貸借契約書など)

【DVやモラハラの証拠の例】

  • 病院・クリニックの受診記録や診断書
  • 暴力によってできた傷の写真
  • 暴力や脅迫の録音

(2)第一審で決着をつける

控訴や上告をすることがなければ、裁判の期間はその分短くなります。
そのためにも、第一審でしっかりと証拠を提出し、効果的な主張をすることが大切です。

(3)和解も視野に入れる

離婚裁判を起こしたからといって、必ず判決まで裁判を続ける義務があるわけではなく、裁判の途中で和解することも可能です。そして、和解が成立すれば、控訴や上告はできません。
裁判所が条件を提示して和解をすすめてくることもあります。

和解の話が出たら、提示された条件を検討してみるとよいでしょう。

離婚裁判は自力でもできる?弁護士に依頼すべき?

離婚裁判は自力でもできる?弁護士に依頼すべき?
離婚裁判となると弁護士に依頼したほうがよいのか、次で説明します。

(1)有利かつスムーズに離婚したいなら弁護士への依頼がおすすめ

弁護士に依頼すると、離婚裁判に必要な書類の作成・提出、裁判での効果的な主張や証拠を提出するタイミングの判断を弁護士に任せることができます。

裁判をなるべく早く終わらせたい、有利な条件で離婚したい、自分では何をすればいいかわからないという方は、まずは弁護士に相談するとよいでしょう。

(2)弁護士に依頼するメリットとデメリット

裁判を有利に進めやすいことや、精神的負担や時間的負担の軽減、早期解決が期待できるなど、メリットはたくさんあります。
【弁護士に依頼するメリット・デメリット】
メリット デメリット
・複雑な裁判手続を任せられる
・早期に解決しやすい
・裁判を有利に進めやすい(慰謝料、親権、財産分与など)
・不用意な主張で不利になることを防げる
・和解するべきかアドバイスをもらえる
・精神的負担や時間的負担が軽減できる
・弁護士費用がかかる
デメリットは、費用がかかることぐらいでしょう。
依頼の際には、明確に費用を提示してくれる弁護士や法律事務所を選ぶことがポイントです。

(3)弁護士への依頼を迷っている場合のチェックポイント

弁護士に依頼するかどうかお悩みの場合は、以下のポイントを参考にしてみてください。

【離婚裁判に関する知識や経験が豊富か】
離婚調停は自分で対応できるかもしれませんが、書面を作成して提出することが主体となる離婚裁判に対応するのは基本的に困難です。本人が法律知識のある専門家でもない限り、弁護士に依頼すべきでしょう。

【相手に弁護士がついているか】
裁判で争う相手に弁護士がついている場合は、不利になる可能性が高いので、こちらも離婚問題が得意な弁護士をつけたほうがよいでしょう。

【効果的な証拠を用意できているか】
決定的な証拠が用意できそうにない場合も、弁護士に相談して戦略を練るのがおすすめです。第一審で証拠不足により敗訴した場合も同様です。

【まとめ】離婚裁判を短期間で終わらせたいなら弁護士への依頼がおすすめ

一般的な離婚裁判の期間は1~2年程度です。
また、離婚裁判をするには離婚調停を経る必要があるため、実際に争うことになる期間はそれよりも長いと考えられます。
そのうえ、事情が複雑な場合や判決に納得できない場合にはさらに長引くこともあるでしょう。

少しでも早く解決するには、第一審からしっかりと証拠を揃え、適切なタイミング、内容で主張することが大切です。
しかし、適切に判断するには法的知識や裁判の経験が必要です。
有利に離婚裁判をすすめ、早期に終了させたいなら、弁護士に依頼することをご検討ください。
1人でお悩みなら、まずは離婚問題を取り扱っている弁護士に相談してみることをおすすめします。

詳しくは「弁護士が教えるパーフェクト離婚ガイド」をご覧ください。

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この記事の監修弁護士

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

林 頼信の顔写真
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